{classic} 旧水田家住宅
複数回に渡り大蔵大臣に選出され、城西大学の創設者でもある鴨川市出身の政治家 水田三喜男(みずたみきお)の実家。江戸時代後期に建てられた茅葺き屋根の民家で、歴史的価値のある住宅として国の指定文化財に指定されている。
山奥にひっそりと佇む敷地の入り口に堂々と聳え立つ長屋門。そしてその奥に重厚感のある茅葺屋根造りの住宅。創設者の生家として、現在も城西大学による管理のもとで修復をたびたび行いながら保存されており、文化財として水曜日から日曜日まで無料で見学可能となっている。
土間には薄暗い中でも存在感を放つかまどや、当時使っていたであろう竹製の炊事用品が置かれている。部屋の中は、窓から差し込む日光と趣のある和紙づくりの間接照明が、歴史を感じる黒くつやつやとした床をぼんやりと照らしている。
西側に縁側、南面には瓦葺の下屋を差し掛けるなどの特色を持ち、「房総民家」と呼ばれるつくりになっている住宅。二階建てとなっており、急な階段をあがると茅葺屋根の内側や立派な梁が現れる。
1月の曇りの日に全開になっているひんやりとした家の中で寒さに耐えながら見学していたところ、囲炉裏に火をつけてくれた親切な管理人さん。囲炉裏に集まり温まりながら、水田三喜男の父は村長で幕府の役人が立ち寄る家であったこと、かつては長屋門は通常閉められておりそうした役人の訪問時にだけに開けられていたということ、当時は使用人は長屋門に併設されている牛小屋の屋根で寝ていたことなど、この家にまつわる色々なお話を聞くことができた。
こうした話を聞きながら、かつては寒い冬にこうしてゆっくり温まることができたのも、立場の高い人に限られていたのかもしれないという想像に至る。
身分や門地によって生活水準や社会的地位が決められていた時代から時を経て、居住や職業選択の自由がある現代。それも高等教育を受け、戦後の政治に携わり、そして多くの人に学びの機会を与えるための大学を創立した水田三喜男がその重い門を開いてくれた一人であることを、彼が生まれたこの家で思う。
写真・文 イシカワ
旧水田家住宅
一般公開:午前9時~午後5時
定休日:火曜日