{visit}相模屋旅館
夏になると海水浴客で賑わう前原海岸。
そこにかつてあった、相模屋旅館。
僕がその旅館の名前を知ったのは、以前インターネットオークションで「相模屋」と書かれたとても素敵なマッチ箱を見つけたことがきっかけです。そして相模屋という旅館が鴨川にあったことを知りました。
今回、当時相模屋で働いていた女性を友人に紹介してもらうことができ、その頃の写真を見せていただきました。
見せてくれたのはこの2枚の写真。
こちらが、1枚目の写真。
旅館の正面に停まる車が写っており、海外の方が乗り込んでいる様子がわかります。戦後のこの頃は海外の駐在員の方が泊まることが多かったそう。当時、旅館前の通りには酒屋や薬屋なんかもあり、賑わっていたそうです。薬屋は今も当時の面影を残して建っています。旅館のすぐ裏には砂浜がひろがり、潮騒も聴こえていたのだとか。
女性は、旅館の入り口にある相模屋の看板は、黒い木枠に相模屋の文字が金色に輝いていたことや、写真には写っていませんが、旅館の前には蘇鉄が植えられていてその蘇鉄は今はあそこに植えられている、ということを教えてくれました。
2枚目の写真は、前原海岸側から見た旅館。3階建てで本館・新館に分かれており、立派な建物だった様子が伝わってきます。宿泊客は海岸にそのまま下りていけるようになっており、多くの人が観光を楽しんだであろう光景が想像がつく外観です。
この写真を見ながら、僕たちは二人でこの写真と同じ場所に移動してみました。女性がその場所に立ち、当時を懐かしみ語る姿が、時間を超えて景色を見ているようで印象的でした。
僕は話を聞きながら、景色は変わっても、潮騒の音は変わっていないのかなと考えました。
女性と別れたあと、前原海岸の海を眺め、相模屋旅館の部屋から見る当時の前原海岸の景色はどんなだったろうかと、小舟をみながら考えました。
写真・文 カマダ