{track}鴨川富士
正式名称を「鹿野岡山」という、鴨川市にある標高209mの山。長狭方面から見ると富士山に見えることから、昔から「鴨川富士」の名称で親しまれている。段々と春を感じることも多くなってきたが、まだ肌寒い2月の終わり。晴れ晴れとした気候の日に、本家富士山に思いを馳せながら、この山を登ってみることに。
南東側の花房地区側からの入り口。農道や民家の間をぬって登山口へ進む。冬の終わりらしい色合いの道。
登山口。植物で覆い隠された入口に、舗装もされていなければ整えられた階段もない進路。すでに「道なき道」のにおいを感じる。土がこんもりしているだけの地面を、恐る恐る進んでいく。
ピンクのリボンが目印となり、道を導いてくれる。地図やナビゲーションのない世界は、こんなにも不安なものなのだ。
本来はあるのが当たり前でもなければ、誰かに指図されるべきことでもない「道標」を、自分は気づけばいつも探していることに気付かされる。
障害物に、急な坂。ロープが渡されており軍手をはめて登っていく。そこからしばらくリボンやロープを頼りに進むにつれて感じる開けた空気感。
冷たい風が抜けて季節を感じる。陽が差し込み目の前の明るさが変わっていく。
どこが本当の頂上なのかわからぬまま、空が広い場所を探し求めて歩みを進めていく。何度も目印を探しつつ、頂上の場所を確認しながら、ようやく辿り着いた頂上らしき場所。本家富士山の頭が望めた。
遠くには一面に、青が濃いめの海が見え、その手前には田畑と民家が同じくらいの面積でひしめき合っている。里山に、青い海と空。親しみやすい自然に囲まれた街。我が故郷、鴨川の風景そのものだった。そしてこの風景を見た時自然と思い出されたのが、鴨川市民の歌「夢よとどけ」。
ながらくこの歌も聴いておらず、景色も見ていなかったのに、ふと懐かしさとともに不思議と蘇るメロディーと記憶。自分の住んでいた街がこうして頭の片隅に今も佇んでいることを思うと、歌詞に歌われている『忘れない いつかまた 鴨川(まち)よ心支えて』という部分が、本当に現実であることを実感する。
自ら道を探りながら登る、鴨川らしい小ぶりな富士山。その道のりを自分の人生と照らし合わせながら、この歌を口ずさみ下山した、春のはじまり。
鴨川市民の歌「夢よとどけ」
作詞 鴨川市民
作曲 鈴木康博
補作詞 鈴木康仁
暁風(かぜ)に吹かれて 見つめてごらん 花の明るい 美しい鴨川(まち)を
愛する友よ 見つめてごらん この海と清澄(やま) いつもそこにいる
そのままで やわらかく 朝陽(ひ)はのぼり空青く
時はゆく とどけ夢 宇宙をこえて
未来(あす)を信じて はなしてごらん いつものように 新しい鴨川(まち)で
愛する人よ はなしてごらん ゆれるときめき つのるその想い
川の流れ 澄んだ海 輝いてうけとめて
時はゆく はずむ夢 宇宙をこえて
忘れない いつかまた 鴨川(まち)よ心支えて
時はゆく とどけ夢 宇宙をこえて
(掲載元:鴨川市公式ホームページ https://www.city.kamogawa.lg.jp/soshiki/1/333.html)
写真・文 イシカワ