{favorite}中村さんのバターナイフ

夏の終わり、鮮やかな花をつける百日紅を横目に、あるお宅へやってきました。山が目の前。庭の笹の奥からは滝の音。とても気持ちのよい場所。

以前、道の駅 たけゆらの里で一目惚れして購入した竹製のバターナイフ。道の駅に問い合わせ、作り手の方につないでいただき、会いにきました。

作り手の方は、この自然豊かな場所で育った中村さん。

家のとなりの沢にはウナギやモクズガニがいたそうで、山と川で過ごす幼少期だったようです。かつて目の前の山の竹を使い、竹馬や水鉄砲、笛などを作り、遊んでいたのだそう。

「こういう竹遊びをした世代は僕たちが最後だろう」

よく響いたこの言葉。



それからずっと地元で働き、60歳目前で退職してから竹製品をつくるように。

旅行先でみつけた木の手づくり品をみて、竹でもつくれないかなと思い、作りだしたのだそうです。竹にあったデザインを考えるのがなかなか苦戦したのだといいます。


そんな苦労も経て生まれたバターナイフ。実際に作り方をみせていただけることに。

まずは竹を割っていきます。山で葉をつけたまま3ヶ月寝かせ、その後焚き火で炙り油をだし拭いた竹。

材料づくりにも手間、時間がかかっています。孟宗竹や淡竹、雌竹などのいくつかの素材を、つくるものに合わせて変えているそうです。

この竹を、鉈をつかいあっさりと2つにして、

バターナイフの幅に割っていきます。

それから、柄の部分を細く。

バターナイフの形になりました。

上が孟宗竹。下が金明竹。この金明竹は静岡に苗を買いにいき育てたのだそうです。苗からこのバターナイフになるまでどれだけの時間がかかったのでしょうか。

ここから、かたちを整えていきます。

使いやすさを考えて面取りも丁寧に。

金明竹の方も仕上げをかけていきます。

一連の流れを見ながら竹の表面の美しさに見惚れていた僕は、表面の模様を残すことはできますかと伝えてみました。「できますよ」と気持ちよく答えてくれた中村さん。

そうして完成したバターナイフがこちら。

ヘラ部分は水がながれるような繊維の模様、柄は黄金色に輝き、黒い節がとてもいいアクセント。柄の先端からヘラに向かう途中で一度細くなるフォルムも美しい。


中村さんはこの出来立てのバターナイフをプレゼントしてくれて、最後に染みや乾燥防止には菜種油を塗るとよいことも教えてくれました。


そして「この表面の模様を残したのも、今後作って売ってみようかな」と。

また道の駅に寄る楽しみができました。



写真・文 カマダ

 
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